NanatoMutsuki
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Reスタートはカースト最上位から(仮)

第一部 幼少期編 第九話 僕の家族

アンナから情報を聞いてすぐにルイーズ解放に向けて動き出した。

しかし大事になってしまっただけに僕の一存では釈放はできなくなっていた。

どうやら国王に進言する必要がありそうだ。

アンナに国王への面会の手続きを依頼する。

まだ朝早いためすぐに面会は難しそうなので、それまでに湯浴みと朝食もお願いする。

アンナからはまずお医者様に診てもらってからです!と怒られた。

僕としてはルイーズさんに迷惑をかけている方だから罪悪感が溜まっているのだ。

一刻も早く解放してあげたい。

「ルイーズさんには悪いことをしたなぁ」

「あの…本当にルイーズ様はシャルル様に何も危害を加えてはいないのですか?」

「んん?疑ってるの?」

「それは…シャルル様が倒れた時には城中に緊張感が走りました。その原因となったのがルイーズ様でシャルル様は全く目を覚さないのです。まだ魔法にそれほどのことはできないとは分かってはいても、もしかすると私たちの知らない呪いの魔法があって、ルーイズ様がそれをかけたのではないかなど疑いがかけられました」

「呪い?そんな迷信みたいなことを信じてるの?」

いや、何らかの呪いとか精神に干渉することも魔法にて行使可能なのか?

例えば…死の宣告とか?洗脳とか?

「シャルル様、呪いは迷信ではありませんよ。確かに呪いは存在します。ただ多くの場合は物や場所に生じる現象です。なぜ呪いがかかるのか原因はわからず、解除の方法もわかっていません」

呪いがある?

初耳だな…。

今度調べてみよう。

呪いってどんなものなんだろう。

身につけると不幸になる指輪とかかな?

「その呪いが僕にかけられたと騒ぎになったってことか」

「何しろお医者様もシャルル様の体に何が起こってどうなっているのか全く分からない状況でしたので、そのようなことでしか理由が思い浮かばなかったのかもしれません」

「私もルイーズ様が何かをしたとは思いたくはありませんでしたが、きっかけになったことは間違い無かったので正直恨みそうになっていました…」

状況的には仕方ないかとは思うがやはり申し訳なさが込み上げてくる。

「どうやら僕は魔素に過敏な体質みたいなんだ。それでびっくりして倒れちゃっただけだよ。それでルイーズさんは?」

「もちろん呪いは否定されました。そんな魔法は自分にはできない。今回はただ魔素を流し込んだだけで、通常魔法を教える手順と一緒であったと主張しました。そしてかなり狼狽されていました。拘束される時も何の抵抗もありませんでしたし、シャルル様のことを心配されている様子もありました」

「ルイーズさんの言っていることは本当だからね」

不当な扱いを受けていないといいのだけど…

そうこうするうちに医者が部屋にやってきて簡単な問診と診察を行う。

もちろん結果は問題なしだ。

というか意識のない時も、目を覚さないこと以外は問題がなかったのだ。

そして7日ぶりの湯浴みをする。

アンナが体を拭いてくれたりしていたようで、それほど臭くはないがさっぱりしたい。

これが転生前の30歳の時だったら激臭だったであろう。

男は年齢とともに臭くなる。

これは避けようがなく、気をつけないと女の人に嫌われてしまうのだ。

前世は医師だったため周りには看護師などの女性が多い職場であった。

女性の清潔感に対する見方は厳しい。

女性がいう清潔感とは、清潔であることは大前提で、それプラスオシャレにしていることが清潔感のある状態を指すそうだ。

何だよそれ、教科書に書いて学校の授業で教えてくれよ。

女性は化粧をしたりオシャレにしたりすることに余念がない。

要するに他者からどうみられるかを男性とは比較にならないくらい意識しているのだから、他者に対する基準もそうなってしまうのだろう。

臭いことが気にならない、相手にどう思われているか意識もできない男なんて論外なのだ。

女性と良い関係性を築くには、細かな部分に気を配ることが重要なのだ。

そして女性を敵に回すととても、それはもうとてもとても厄介なのだ。

浴場まで移動し中に入ろうとするとアンナがついて来ようとする。

「あの…アンナさん?来なくていいんだけど」

「いえ!今のシャルル様は病み上がりです!またもし何かあれば私はもう侍女としてやっていくことができなくなってしまうでしょう」

「いやいや、医者はもう大丈夫って言ってたじゃん!僕ももう少しで7歳だから大丈夫だよ」

「いえいえ!しばらくは様子を見る必要があるとも言っていました!ここは譲れませんし、これまでは普通に受け入れてくれていたじゃないですか!アンナは哀しゅうございます」

そういうアンナの顔はマジだった。

今思い返せば湯浴みには必ずついてきて甲斐甲斐しく世話をしてくれた。

王子ともあればこれは普通のことなのかもしれないが、前世で30年間男として過ごした僕にとっては至極恥ずかしいことであった。

まだ7歳にも満たないとはいえ、少しずつ性欲というものが発露してきた。

前世の記憶があるだけに性の成長も早めなのかもしれない。

不謹慎なことが頭を過ぎれば下半身が反応する可能性がある。

不謹慎なことを考えなければいいって?そんなことを健全な男の子に求めるなんてナンセンスだ。

というかアンナは分かっているのか?

アンナだって16歳だろ?

第二次性徴を迎えていないからまだ大丈夫だと思われているのか?

というかアンナは絶対生娘でしょ。

何もわかっていない可能性が高い。

とにかく僕の自尊心のためにも1人で湯浴みしたいのだ。

とはいえ今日は拒否すると何となくマズイことになりそうな気がしてならない。

なにせアンナの目がマジだからだ。

こういった状況で適切な判断をするのが人間関係、特に対女性にとっては重要なのだ。

重要なのだが…..

「本当に嫌なんだけど」

「ダメです」

「大丈夫だから」

「ダメです」

「アン..」

「ダメです」

「・・・・・」

「・・・・・」

すごい目で僕を見てくる。

絶対に譲らない。

そんな強い意志が沸き立っていた。

「もう…今日が最後だよ…..」

早々に諦めるしかない僕だった。

入念に体を清められた僕は久しぶりの朝食をとり、王との面会に臨むべむ準備をする。

僕の体はアンナに入念に洗われた。

僕の意思が尊重されることはなく股間以外はそれは綺麗に洗い上げられた。 

股間だけは触られると痛いからと頑なに死守した僕だった。

守るのに必死だったから不謹慎なことは頭を過ぎらなかったが、たぶん半◯ちくらいにはなっていた。

てかこれ普通?父さん(王)はどうしてんの?大人になってこんなんされてたら風◯と変わらないじゃん。

侍女の仕事ってそれも含まれているのかなぁ。

前世の僕なら憧れのエ○シュチなんだろうけど、実際の立場になると何とも複雑な心境だ。

今は恥ずかしさが勝っているから拒否感が強いが、実際アンナは可愛いんだよなぁ。

でも10代の子にエロいことをさせるなんて僕の中の倫理観としてはブレーキがかかる。

今度父さんに聞いてみよ…

聞いたら怒るかな…

王、つまり僕の父親だが、家族だからといっても簡単に会うことはできない。

王は忙しいのだ。

家族全員が集まるのは月一回の夕食会のときのみ。

そこで王である父親エルヴェ、王妃である母親ヴィーネ、第一王女である長姉ソフィア、第二王女である次姉エレナが一同に介する。

これが僕の家族だ。

しかしあんまり家族という感じがしない。

なぜならほとんどバラバラに生活しているからだ。

姉達とはよく会ってはいる方だが、それでも普通の姉弟関係とは違ったものだろう。

王女や王子もとても忙しいのだ。

僕は今まで病弱であったため、あまり英才教育は行われてこなかったが、本来は学問、礼儀作法、ダンス、剣術、可能であれば魔法などの教育が徹底的に毎日のように行われる。

姉達と合うのはその中の隙間の時間だけ、両親と会うのは夕食会や行事のときだけだ。

僕は学問の基礎的なことはマスターしてしまった(前世の記憶があるため)ので、これからは図書館で自主学習でも良いかもしれないが、礼儀作法やダンスなどの教養は王族にとっては必須事項になるだろう。

前世の経験はほとんど役に立たないだろうから頑張らないといけない。

あとは剣術と魔法。

これがこの世界で成功するための鍵(のはず)だ。

魔法は上手くいきそうな手応えを感じているから、剣術も早く教わりたいなぁ。

ちなみに祖父母はすでに他界している。

この世界の寿命は短い。

栄養が不十分な上に医療が発達していないからだ。

そして戦争もある。

僕の代は平和で長生きできる世の中にできるといいなぁ。

「シャルル様、宰相様から連絡があり本日午後から陛下との面会を許可するとのことです」

「うん、分かったよ。ありがとう」

こうして僕は王(父親)に面会し進言する機会を得るのであった。